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定額給付金の混乱〜「世論」って?

以下は私があるblogの記事に対するコメントとして書いたものです。
超長文になってしまいましたので、そちらのコメント欄ではなくてこちらに掲載します。


[要旨]
「世論調査」は単なる人気投票に過ぎず、意味はない。政府はこのような数字に一喜一憂するのではなく、信じる政策を粛々と実行すべきである。
また、マスコミが麻生内閣を叩かないことはあり得ないのだから、同様に無視するべきである。


定額給付金には二つの側面があります。一つは経済対策で、もう一つは個人に対する緊急避難的な経済支援です。

前者の、消費拡大を目的とした経済対策という側面を考えれば、まず額が足りません。一人当たり1.2万円なんてケチくさいことを言わず、やるなら一人10万円くらい出すべきでしょう。
また、給付金ではなくて、期限付きの割引クーポン方式にするといったやり方の方が効率が良いでしょう。しかし、すると後者の目的が果たせなくなります。

ところが、後者にしても、あちこちから反対されたせいで迅速性を欠いてしまい、効果のほどは「微妙」といったところです。

さて、そもそも定額給付金は、当初は定率減税の復活でした。これは公明党によるサラリーマン層対策ですが、これだと所得税を納めている人に対してしか減税になりません。本当に困っているのは所得税も払えないような貧困層だろうということで、定率ではなく定額の給付金にしようと言い出したことから混乱が始まったのは記憶に新しいところです。

ねじれ国会の下(※ねじれを生んだのは国民自身の判断だということをお忘れなく)、あまり尖ったことをしようとすれば、野党は勿論、官僚、日教組、マスコミ、…、あらゆる勢力から袋叩きにされ、政権は持ちません。給付金の額も、本音を言えばもっと増やしたかったところでしょうが、歳出を増やすということは財務省と正面衝突するということです。
どうしても安全運転志向にならざるを得ない中にあって、公明党の宣伝不足は致命的でした。普通に考えれば、お金をもらえるのが嬉しくない人はいないはずですからね。

このように両手両足を縛られている中での定額給付金「狂想曲」だったと私は認識しております。民主党支持者の方ならば、ここで「政権にしがみつかずに解散しろ!」と仰るところでしょうが、よく考えれば、定額給付金は「無駄遣い」にはなり得ません。また、弱者救済という方向性自体は間違っていないと思います。

100年に一度の経済危機に当たっては、本来ならば野党も与党も一致団結して乗り切っていかなければならないはずです。ところが、野党は常に政局第一で、政府の足を引っ張り続けました。そしてマスコミがそれに加担した結果、本来はあった効果もなくなってしまいました。
再度強調しますが、官僚政治の打破を目標とし、国家公務員法の改正などを行った安倍元首相を引きずり降ろし、官僚の保護を選択したのは他ならぬ国民自身です。安倍内閣の「支持率」はおいくつでしたか?

勿論こんなものは国民の意思・世論ではありませんよね。大多数の国民にしてみれば「こんなはずじゃなかった」といったところでしょう:一方で公務員を叩きながら、もう一方で安倍内閣を叩くというのは矛盾しています。即ち、特定の政治勢力の主張を垂れ流しにするマスメディアによる「世論」は信用ならないのです。

技術的な問題もあります。例えば「あなたは定額給付金に反対ですね?」という質問だった場合、特に意見がない人はYesと答えるでしょう。こうした点で、外部機関によるチェックを受けているわけではありません。


追記です。今ちょっとRDD方式に関連して調べましたところ、面白いデータが出てきました。
総務省の発表 http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080530_8.html によると、平成20年3月時点で、固定電話の加入数が5123.2万、IP電話が1753.5万、携帯電話が10733.9万らしいです。
世論調査で使われるRDD方式では、後ろの二つには電話はかかってきません……w

さて、これってどういうことでしょうね?私にはよくわからないなァ(棒


故に、「世論調査」は信用してはいけないのです。

また仮に、百歩譲ってその数字が正確に民意を反映していたとしましょう。それでも「世論調査」でいい数字が出るような政治をするというのは、他ならぬポピュリズム、大衆迎合政治であって、政治家はこれを厳に慎まなくてはならないと思います。

勘違いしてはならないのは、我々有権者は、決して特定の政策の実現のために政治家を選んでいるのではないのです;民衆は外交・安全保障より内政を重視しますし、時に短絡的です。今後数年だけではなくて、十年、百年と、文字通り「国家百年の計」を立てるのは一般国民には不可能でしょう。

つまり「世論調査・支持率調査はあくまでも人気投票であって、それで国家が混乱したり揺らぐようなことがあってはいけない」ということです。定額給付金なんて粛々とやってればいい話だったんです。

不必要に問題を大きくし、混乱を拡大させたのは……さて、ここまで来れば分かりますよね。



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Comments

>緊急避難的
緊急避難的な給付金を発する必要がある人々がどの程度いるのでしょうか。ソースをお願いします。

>効果のほどは「微妙」
何に対する効果ですか?

>定額給付金は「無駄遣い」にはなり得ません。
「効果のほどは「微妙」」

>勿論こんなものは国民の意思・世論ではありませんよね。
あなたの「国民の意思・世論はこうあってほしい」という姿に、世論調査の結果が合わなかったために、このようなことを思うのではありませんか?

>技術的な問題
社会調査の手法に関してご存知でしょうか。世論調査の質問は、質問項目を作る段階であなたの例示するようなバイアスが掛からないように工夫されています。
社会調査は、現実世界をそのままに映し出すことは不可能という前提になっています。また標本抽出、母集団と標本数から誤差をできる限り少なくする工夫がなされています。
有権者1億人の場合、3000人を対象に調査し、2000人の回答を得られれば誤差は±4%以内とされています。

>「世論調査」は信用してはいけないのです。
そのレベルでの誤差を許容できないのでしたら、私から意見はありません。

>「国家百年の計」を立てるのは一般国民には不可能でしょう。
心から同意します。そのための代議士制度だと思っています。
ですが、十年先・百年先に望む生活モデルを提示しているのは
他ならぬ社会調査・マスコミではないかと思います。
みけ | 2009/01/17 07:22 AM
おお、コメントがw
こんな辺境にまでわざわざありがとうございます。

まずこれはあるblogに対するコメントであるということをご承知おきください。

その上で、僭越ながらレスをさせて頂きます。

> 緊急避難的な給付金を発する必要がある人々がどの程度いるのでしょうか。ソース
欲する…でしょうか。そうですね。難しい問題です。私はこれについてデータを持っていませんので、お答えすることはできません。すみません。
ただ、1万2千円あれば結構食えるのではないでしょうか?(※私は額が少ないという意見ですが)
あの「派遣村」の「村民」も(その政治性はひとまず置いておくとして)、本当にああいう人がいるのであれば、1万2千円は仕事が見つかるまで食いつなぐのに有効でしょう。ただし、迅速性を欠いてしまいました。

> 何に対する効果ですか?
はい。これは、消費を刺激する効果になります。
ご存知のように、今回の金融・経済危機は、アメリカが震源地です。アメリカ人がモノを買わなくなった結果、需要が大きく落ち込みました。その結果輸出産業が大きな打撃を受けましたね。
外人がモノを買わない以上、内需を拡大するしかありません。そこで、内需を刺激する(ケインズ)ために、1万2千円を配って使ってもらおう、という話です。

そのblogに私が最初に記したコメントをご覧ください。その中で、私は次のように書きました:

> 賭けてもいいのですが、仮に、給付金が決定した当初から、「一人1万2千円、一家4人で6万4千円でこれだけのものが買える。お金を使って経済を回し、一致団結して不況を乗り切ろう」というキャンペーンをしていたら、とてもこんな状況にはならなかったでしょう。

文中の「効果」が「微妙」になるというのは、つまり、消費者心理をメディアが盛り上げていれば、景気刺激効果も高まった(貯蓄に回る割合が減り、消費に回る割合が増えた)はずだ、という考えによります。

> 定額給付金は「無駄遣い」にはなり得ません。
これは定額給付金以外の財政政策との対比になります。分かりづらくて済みません^^;
内需拡大のためには、定額給付金以外にも政府が公共事業を行ってもよいです。むしろ、こっちの方が100%消費に回る分、経済効果は大きいです。
しかしながら、従来から指摘されております通り、その公共事業が、族議員などの利権誘導により収益性のないものになってしまうと、それは「無駄遣い」になってしまいます(※ただし、財政政策としての効果はあります)。
一方、定額給付金は国民一人一人がその使い道を決めます。それは「無駄遣い」にはなり得ないでしょう。

> あなたの「国民の意思・世論はこうあってほしい」という姿に、世論調査の結果が合わなかったために、このようなことを思うのではありませんか?

それは認めます。認めますが、その部分は「公務員を叩きながら、自治労を支持基盤とする民主党を支持するのは矛盾している」という事実を指摘したまでです。

> 社会調査の手法
はい。例えば、RDD(Random Digit Dialing)方式といったやり方が使われておりますね。
しかしながら、RDD方式は携帯電話を対象としておりません。周知の通り、固定電話の加入件数は減少を続けており、特に若年層は固定回線を引いていない人も多いです(私もそうです^^;)。また、固定電話を引いていても、最近はインターネットアクセスと一体になっていて通話料が安いIP電話(050から始まる)を使用する家庭も増えております。

これは誤差ではなく、対象とする標本が偏るということを意味しています。
また、第三者機関のチェックを受けていなかったり、質問内容(文面)が公表されていないといった問題があります。

これらを合わせて「技術的な問題」と呼びました。

> そのための代議士制度だと思っています
同意ありがとうございます。

> 十年先・百年先に望む生活モデルを提示しているのは、他ならぬ社会調査・マスコミではないかと思います。
はい。ですがそれは単なる「人気投票」が裏付けに過ぎない「世論」ではなく、広く国民的な議論の結果として醸成される「輿論」でなければならない、というのが私の持論です。

以上です。
nakatomo@管理人 | 2009/01/18 11:27 PM

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