Naknet blog

Nothing to believe, nothing else to believe.

今回の騒動を前向きに考えてみる

アーツビジョンの衝撃は今まさに「各」方面に走って行っている最中で、2ch辺りでは憶測に基づいた「どの声優が枕してるのか」といった情報が尤もらしく扱われるなど、まさにカオスな状態になっているようです。
自分のお気に入りの声優さんがアーツ所属じゃなくてほっとしている人、俺の人生\(^o^)/オワタな人、まさに人生色々ですが、当blogの久々のエントリでは、この事態が業界に対してもたらす影響について、比較的楽観的に予測してみようと思います。


最近、放送されるアニメの本数が多すぎて、作画のクオリティが低下するなどの悪影響が顕著になっています。注目される作品がある一方で、文字通り「泡沫」の作品も数多く存在し、そのような作品では、期待された収益が上げられずに制作現場に負担がかかるなどの問題が存在します。制作される本数が多いことで有限である製作リソースが分散し、質の低い作品が量産されるという事態です。同時に、一本あたりの制作費も圧縮され、制作会社が利益を上げようとして沢山のプロジェクトを引受け、これを下請けに作らせることで、結果として現場の人間に皺寄せが来ています。

また、周知の通り、TV局買取でないアニメの収益は、DVDなどの関連グッズによって支えられています。面白くもないアニメのDVDを熱心に買い集めるような奇特な人間はそうそうはいないはずなので、ここで「面白い」アニメは収益が上がり、そうでないアニメは上がらないという差が出てきます。

さてここで、我々は、少なくとも電波が入る民放で放送される作品に限れば、作品がどんなものであるかを対価なしで実際に見て判断することが可能です。その上で、例えば主題歌が気に入ったのならCDを買うとか、作画が素晴らしいからDVDを買うとかいう行動を起こすことができます。

ここで作品の選択が発生し、質の低い作品は自然に淘汰されていくので、市場原理によって最終的には質のいいものだけが残るようなシステムに今既になっているはずです。
確かに下請けの会社、そこで働くアニメーターなどの仕事環境は苛酷で、賃金も低いという問題はあります。が、それはどちらかというと収益システムそのものではなく、元請けから下請けへ収益が分配される過程でピンハネされることこそが問題で、これを改善するにはそれこそ抜本的な構造改革が必要ですし、本数を減らすことが何よりも必要ですが……閑話休題。

関連グッズを購入するかしないかで、その作品を支持するかしないかという「意志表示」が直接出来るというのは、実は相当恵まれた状況にあるともいえます。あとはその為の元手があるかないかということだけですから。
同じことを議員・首長の選挙で考えてみてください。有権者は数十〜数百万単位でいるわけですから、あなた一人がどうしたからと言ってそう易々と事態が変わることはないでしょう。しかし、今アニメは「DVDが5000本売れれば元が取れる」と言われる状況にあるわけです。どちらが「一票」の重みが大きいかは比べるまでもないでしょう。

さて、ところが世の中には、例えば好きな声優が起用されてさえいれば、作品の中身に関係なく関連商品を買うという「お布施」行為をする人が存在するわけです。人気声優一人に払うギャラが作品プロジェクト全体の収支にどう関わってくるかは知りませんが、少なくとも、そうした行為をするファンが日本全国で1000人も存在してしまえば、それだけで相当収支も変わってきてしまうわけです。
こうした行為に依存したプロジェクトが蔓延してしまえば、「あの人を使っておけば大丈夫」という、作品の中身に全く依拠しない歪んだ経営が行われるようになるのは目に見えていますし、売れる人と売れない人が出てきてしまえば、「売る側」つまり声優の皆さんにしても、より熾烈な「営業活動」に打って出なくてはいけなくなるわけです。

ですから、今回の騒動で「熱狂的」なファンの熱が冷め、それによって「お布施」がなくなる若しくは減るのであれば、それは体制を正常化する一助になる可能性があるのではないか……と。


まぁ上で述べたことがどの程度真実かはともかく、今回の事態で声優業界は大規模な再編を余儀なくされるわけですから、ここで意欲のある人が一人でも出てきてリーダーシップを取ってくれさえすれば、こんなものいくらでも変わっていくと思いますよ。素質・やる気のある人がいるかいないか、ただそれだけでしょう。現場の人間は決してこのままでいいなんて考えてはいないと思いますし。

麻生大臣はアニメを輸出産業にしたいという意向を持っていらっしゃるようですが、もしこういった業界の現状を把握しているのなら、その急所を突いた対策:例えば、アニメーターなどの労働環境に対する監査を厳格化させて昇給・勤務時間削減の圧力をかけ、結果として作品をコストアップさせ、低予算のプロジェクトを排除するといったようなことをしてもらいたいですね。まぁ「痛み」は伴うでしょうが、業界全体にとっては結局はプラスに作用すると思いますよ。労働者保護という「大義名分」も立ちますしw

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